キャラクターストーリー 『晩夏』

「――で、お岩は行方を晦ましたまま…」
「ひぃぃぃ!!」
「…ちょっと驚き過ぎじゃない?」
「だ、だ、だって怖いじゃねーか! 夜中に枕元に立ってたらどうすんだよ!!」
「わぁ!!」
「ぬわぁぁぁぁぁ!!」
「あははははっ! 慎弥君は本当に怖がりだね」
「し、心臓に悪いっすよ、重寿さん…」
「慎弥…今日はお城に泊まるんでしょう? そんなんで大丈夫なの?」
「ここなら……平気だよ」
「いやいや、分からないよ~。ほら、丑三つ刻にそーっと廊下に出てみたら、青葉のご先祖様が――」
「じょ、冗談は止して下さいよ…」
「もしかしたら、青葉家に恨みを持つ者かもしれないよね。泰継様も敵の多い御方だから…」
「そんな、まさか…はははっ」
「今だって、ほら慎弥君の肩に――」
「へっ…?」
「おい」
「うひゃぁぁぁぁぁ!!」
「慎弥!? 何処行くの!?」
「あちゃ…少しやり過ぎたかな…」
「少し所じゃありません! もう…私、探してきますね」
「……。重寿、説明を」
「うっ…はい…。最初は怪談話をしてたんです。で、慎弥君が城に泊まるってんで、ひょっとしたら霊が居るんじゃないかって…」
「あぁ、その話か」
「…え?」
「夜な夜な啜り泣く声が聞こえるだとか…」
「……」
「廊下から重い物を引きずる音がするだとか…」
「…………」
「更には――」
「も、もう大丈夫です!!」
「そうか。続きが気になるなら、菊千代に尋ねるといい。嬉々として話すだろう」
「…は、はい…」

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