キャラクターストーリー 『初鰹』

「慎ちゃん、鰹が食べたいの!」
「えっ? 突然なんすか?」
「ほら…“目には青葉 山ほととぎす 初鰹”て言うじゃない?」
「それは知ってますけど…。そんな高価な物、すぐ手に入るわけが――」
「だったら、獲ってくればいいじゃない?」
「えっ…?」
「うふっ」
「えぇぇぇぇぇ!!」
「貴方の身体は何のためにあるの? そう、働くためにあるのよね! じゃあ、その腕は? その足は?」
「ちょ、ちょっと待って下さい! 将景様の了承もなく、勝手な行動は出来ないんです!!」
「そんなの…ぱぱっと行って、ささっと戻ってくればいいのよ!」
「それが出来るなら、とっくにしてます!」
「慎ちゃんの脚力なら問題無いっ!」
「脚力とかの問題ではなくて…」
「菊千代…慎弥で遊ぶのも程々にしろ」
「だって、桂華ちゃんにお願いしようと思ったら、宗泰様が独り占めしちゃって――」
「えぇ!? なんすかそれっ!」
「うふふっ、なんか深刻そうな顔して、二人でお部屋に入ってったけど?」
「なんで止めないんですか!! あぁぁ、もう…俺ちょっと行ってきます!!」
「お、おい…」
「あーらら、行っちゃった」
「お前な…」
「慎ちゃんに用事だったんでしょう?」
「……」
「追いかけなくていいの?」
「はぁ…構わん。そう急ぎではないのでな」
「そう、それなら少し付き合いなさいよ」
「鰹漁には行かんぞ」
「あたしだって嫌よ!」
「違うの、贔屓の料理屋に良い鰹が入ったみたいでね、たまには付き合ってくれてもいいんじゃない?」
「そういう事か。もうすぐで作業が落ち着くのでな、少し待っていろ」
「はいは~い。部屋に居るから、支度が出来たら呼んでちょうだい」
「あぁ、分かった」

ページの先頭へ

すとれーと お問い合わせ ページの先頭へ